目次
はじめに
運動学習の分野では、FittsとPosnerが提唱した「3段階モデル」がよく知られています。このモデルは、運動スキルを習得する過程を3つの段階に分けて説明するもので、トレーニングやスポーツの指導において非常に役立ちます。
このブログ記事では、FittsとPosnerの3段階モデルについて、トレーニングやスポーツの具体的な例を交えながら、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
また、スポーツ指導者やトレーナーがこのモデルを理解しておくことは非常に重要です。なぜなら、以下の3つのメリットがあるからです。
- 個々の選手の状態を見極めやすい: 選手がどの段階にいるかを把握することで、それぞれに合った指導やアドバイスが可能になります。
- 練習メニューを段階的に最適化できる: 認知段階では基礎フォームの反復、関連付け段階では微調整といったように、選手の上達状況に合わせたメニューを考案しやすくなります。
- モチベーション管理がしやすくなる: 運動学習の進み具合を本人にわかりやすく説明できるため、目標設定や成果の実感をサポートしやすくなります。
1. 認知段階(Cognitive Stage)
どんな段階?
運動のやり方を頭で考えながら、動作を覚える時期です。まだぎこちなく、間違いも多い段階です。
スポーツの例
- 初めてテニスをする人が、フォームをどうすればいいか頭で考えながらラケットを振る。
- ジムでスクワットをする際に、膝をどこまで曲げるか、背中はどうするかを何度も確認する。
ポイント
- 指導者からのフィードバックを受け、「何が正しいか」を理解することが重要です。
- 間違いを恐れず、ゆっくりと確実に基本の形を身につけることが大切です。
2. 関連付け段階(Associative Stage)
どんな段階?
「こう動けばいい」ということがわかってきて、少しずつ動作が上達する時期です。まだ失敗もありますが、徐々に動きがスムーズになってきます。
スポーツの例
- テニスでラケットの面を安定してボールに合わせられるようになる。失敗は減るが、まだ安定感を高める練習が必要。
- スクワットで膝や腰の角度をスムーズに調整できるようになり、フォームが安定してくる。
ポイント
- 成功と失敗を分析しながら、動作の微調整を行います。
- 意識しなくても、動きが少しずつスムーズになっていきます。
3. 自動化段階(Autonomous Stage)
どんな段階?
動きを無意識レベルでコントロールできる時期です。運動に必要な注意や意識を、他のこと(戦略や状況判断など)に向けられるようになります。
スポーツの例
- テニスで相手の動きを見ながら、瞬時にサーブやショットを使い分けられる。
- スクワットもフォームをいちいち考えなくても、自然と正しい姿勢でできるようになる。
ポイント
- 理想的なフォームを自動的にとれるため、集中力を戦略や周囲の状況に振り向けられます。
継続的なトレーニングのメリット
継続的なトレーニングには、以下のようなメリットがあります。
- フォームが安定し、運動効率がアップする。
- 怪我のリスクが下がる。
- 戦略や状況判断など、他のことに意識を向けやすくなる。
- 上達の手応えを感じやすく、モチベーションが高まる。
まとめ
FittsとPosnerの3段階モデルは、運動学習がどのようなステップを踏んで上達していくかをわかりやすく示す枠組みです。初心者のうちはうまくいかないことが多いですが、基礎を大切にしながら継続的にトレーニングすることで、少しずつ関連付け段階を経て、最終的には自動化段階まで到達できます。
気長に楽しみながら練習を続けることで、驚くほどの成長を感じられるようになるでしょう。